【2024年版】子育て支援が手厚く子どもを育てやすい区は?数字で見る23区の子育て支援制度

【2024年版】子育て支援が手厚く子どもを育てやすい区は?数字で見る子育て支援制度
この記事のポイント
  • 23区で受けられる子育て支援には、国や東京都によるものと、各区によるものがある
  • 区による支援制度には個性や違いがあり、子育てしやすい区には豊富な支援制度があるのが特徴
  • 妊娠出産から育児、進学まで、ベスト3の区を紹介しながら解説する

東京23区では、さまざまな子育て支援が積極的に行われています。しかし、同じ制度でも区によって名前が違うため比較しにくいのが現状です。

そこで今回は、区や東京都が行っている制度と、区が独自で行っている制度を分けて、子育て支援が手厚く、子供を育てやすい環境が整っている区はどこなのか分析しました。

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国や東京都が行っている23区の子育て支援制度

国や東京都が行っている23区の子育て支援制度

国や東京都が行っている子育て支援制度には、「出産育児一時金」や、妊娠出産時のギフトのかたちで配布される「出産・子育て応援交付金」などがあります。

国や東京都の制度や助成金は、基本的に23区ではどこでも同様の内容が受けられますが、各区ではさらに独自の子育て支援制度を追加していることが多く、子育て支援の特色となっています。

まず国や東京都ではどのような子育て支援制度があるのか見ていきましょう。

妊娠、出産時の「出産・子育て応援交付金」

国の「出産・子育て応援交付金」を活用し、区市町村と連携して行われる経済的支援です。

1)妊娠時 対象となる妊婦1人あたり5万円相当

2)出産後 対象となる児童1人当たり10万円相当

妊娠時は国から5万円分の「出産応援ギフト」が交付されます。さらに出産後は、国の5万円分の「子育て応援ギフト」に、東京都が独自で5万円を追加することで、合計10万円分のギフトが交付されています。

ギフトの交付方法は市区町村によって異なり、以下の3パターンがあります。

パターン妊娠時出産後
出産応援ギフト
(5万円分)
子育て応援ギフト
(5万円分)
都独自
(5万円分)
パターン1都が用意する専用ウェブサイトを活用して
育児用品・子育て支援サービス等を提供
パターン2区市町村が独自に
クーポン等を支給
都が用意する専用ウェブサイトを活用して
育児用品・子育て支援サービス等を提供
パターン3区市町村が独自に
クーポン等を支給
都が用意する専用ウェブサイトを
活用して育児用品・
子育て支援サービス等を提供

引用元
東京都出産・子育て応援事業 ~赤ちゃんファースト~ 東京都福祉局

独自クーポンの場合、カタログギフトのほか、地元の商店街などで利用できる商品券として交付されるケースもあります。

出産育児一時金

健康保険や国民健康保険の被保険者等が出産したときに支給される一時金です。2023年4月から、支給額が42万円から引き上げられました。

産科医療補償制度に加入の医療機関等で妊娠週数22週以降に出産した場合1児につき50万円
産科医療補償制度に未加入の医療機関等で出産した場合1児につき48.8万円
産科医療補償制度に加入の医療機関等で妊娠週数22週未満で出産した場合

引用元
子どもが生まれたとき | こんな時に健保 | 全国健康保険協会

支給対象は妊娠4か月(85日)以上で出産をした被保険者または被扶養者です。

入院助産(出産費用の助成)との違い

出産費用の助成は、出産にあたって保健上必要とされながら、経済的な理由で病院または助産所に入院できない方が対象になっています。

対象になる方は、以下の通りです。

  • 都内に住む妊産婦で、経済的な理由で病院または助産所に入院できない方。
  • 生活保護世帯、中国残留邦人等の支援給付受給世帯。
  • 住民税非課税世帯、または特別区民税・市町村民税所得割が19,000円以下の世帯(出産一時金が48万8千円以上の場合を除く)。

また、認可されている助産施設等に入院する必要があるなど、ほかにも条件があるため、福祉事務所もしくは区役所の窓口で相談、申請をしてください。

児童手当

児童手当は、児童手当法と子ども・子育て支援法をもとに、0歳から中学校修了まで(15歳に達する日以降の最初の3月31日まで)の児童を対象に支給される手当です。

対象年齢手当額
0歳~3歳未満15,000円
3歳~小学校修了前10,000円
(第2子まで)10,000円
(第3子以降)15,000円
中学生10,000円
特例給付※5,000円

※所得制限限度額以上、所得上限限度額未満の場合

給付対象には所得制限と所得制限上限があり、扶養人数などを含めて制限があります。

扶養人数所得制限限度額
(特例給付)
所得上限
限度額
0人622万円858万円
1人660万円896万円
2人698万円934万円
3人736万円972万円

引用元
児童手当 東京都福祉局

詳しい所得の条件や手当については、住民票を置いている区の窓口に問い合わせてください。

018サポート

東京都が都内に在住する18歳以下の子供に対して、一人当たり月額5,000円、合計年額6万円を支給する制度です。児童手当とは異なり、所得制限などはなく、子供一人当たりに対して一律で支給されるのが特徴です。

・期間
0歳~18歳になってから最初の3月31日まで

・対象
令和6年度中に都内に住所を有している、または有していた子供

年度内に転出、転入した人も対象になり、年度内で都内に在住した月数に応じて支給されます。詳しくは居住している区の窓口に問い合わせてください。

引用元
018サポート 東京都福祉局

23区の子育て支援情報一覧!夜間保育のトワイライトステイは14の区で実施

23区の子育て支援情報一覧!夜間保育のトワイライトステイは14の区で実施

23区では各区の子育て支援として、以下の施設とサービスが提供されています。

  • 子供家庭支援センター
  • 子育てひろば(地域子育て支援拠点)
  • ショートステイ
  • トワイライトステイ(午後5時~10時の預かり)
  • 一時預かり事業
  • 病児・病後児保育
  • ファミリー・サポート・センター

区によって名称が異なる場合もありますが、基本的にはどの区でも同じサービス内容が提供されています。

ただし、午後5時から10時の夜間に子供を預かるトワイライトステイは、すべての区が対応しているわけではないので注意してください。2024年7月時点でトワイライトステイに対応していないのは、墨田区、江東区、目黒区、渋谷区、杉並区、豊島区、北区、荒川区、江戸川区の10区です。

出産助成金とは?出産時に受け取れる助成金額が多い区と支給額

出産助成金とは?出産時に受け取れる助成金額が多い区と支給額

出産助成金とは、国が給付する出産育児一時金とは別に、出産した人に入院や出産にかかった費用の一部を区が支給する付加給付です。

区によって支給される金額が異なります。助成金額が多い区は港区の最大31万円に続いて、足立区や渋谷区では10万円の助成を受けられます。そのほかの区では、多くが2~5万円程度の助成があります。

行政区出産助成金
港区最大31万円
足立区10万円
渋谷区10万円
世田谷区5万円
台東区5万円

出産助成金と出産育児一時金、出産・子育て応援交付金を合わせることで、80~100万円相当の支援が受けられる計算になります。港区のようにできるだけ高額な出産助成金がある区を選ぶことで、なにかと物入りな出産前後も安心でしょう。

ただし、多胎児出産等では支給金額の条件が変わるため、どれくらいの出産助成金が給付されるのか、事前に居住している区の窓口に確認しましょう。

認可外保育施設利用時の保育費補助は?月々の補助金額が多い区

認可外保育施設利用時の保育費補助は?月々の補助金額が多い区

認可保育所に入れず、認可外の保育施設に預けた場合、認可保育所の保育費との差額を補助する制度です。

保育施設の所在地が区内か区外か、第二子以降かなど、条件によって補助金額が異なる場合もあり、区によって対応や金額に大きな差があります。

1カ月あたりの補助金額は、港区が最大10万円、渋谷区が最大7万円、中野区が最大6万2,000円と大きく補助される区がある一方で、2~3万円という区も少なくありません。

行政区補助金額
港区最大10万円
渋谷区最大7万円
北区最大6万7,000円
中野区最大6万2,000円
荒川区最大6万円

とはいえ、認可保育所の保育料は区や世帯収入によって大きく異なります。トータルで計算すると認可外保育所の方が安くなるというケースも多々あるので、居住している区の補助制度と保育料を確認しましょう。

私立幼稚園利用時の保育費補助は?入園料と補助の上限に注意

私立幼稚園利用時の保育費補助は?入園料と補助の上限に注意

私立幼稚園を利用した場合に、入園料や毎月の保育料を補助する制度です。入園料と保育料が別途支給されます。

子ども・子育て支援新制度に移行している園と移行していない園で、月々の保育料に対する補助金の上限が異なります。基本的に保育費の負担がなくなり、幼児教育が無償になるように支給されるので、移行していてもいなくても問題ありません。

入園料補助金は入園時に1回だけ、世帯収入を問わず支給されます。多い区は大田区が上限13万円、続いて足立区、品川区、世田谷区が上限10万円です。

行政区補助金額
大田区上限13万円
足立区上限10万円
品川区上限10万円
世田谷区上限10万円
江戸川区上限10万円

入園料は幼稚園によって異なり、安い幼稚園では5~6万円程度ですが、高い幼稚園では40万円を超える場合もあるため、補助金額の上限との差額に注意が必要です。

待機児童数は?0歳児が認可保育園に入りやすい区や駅、隠れ待機児童

待機児童数は?0歳児が認可保育園に入りやすい区や駅、隠れ待機児童

0歳児の待機児童数は、産後に職場復帰を目指す共働き家庭にとって、住まい選びに大切な目安です。

しかし、単純に待機児童数が少なく0歳児の入園応募倍率が低い区と、子育てをしやすく、暮らしに適した環境が整っている区は、必ずしも一致するとは限りません。

というのも入園に対する倍率は、区内の0歳児人口と認可保育所の0歳定員で決まるため、実際に居住している人口が少ない千代田区や新宿区のような都心部は、0歳児人口も少ないので倍率は2.3~2.5倍程度と低くなります。

逆に居住人口が多い区は0歳児の人口も多いため、江戸川区や大田区、江東区などは、認可保育所の倍率が高く、3.5~7.8倍になることもあります。

また、区だけでなく、駅によっても入りやすさが異なります。例えば同じ品川区でも、武蔵小山駅の方が大井町駅より若干倍率が低く入りやすいなど、保育所の数が多い駅を選ぶことも大切です。

ほかにも注意するべき点として、隠れ待機児童があります。

待機児童が0であっても、新規入園決定率が100%とは限りません。空いている保育所が遠いなど、さまざまな理由で入園が決まらないケースがあるため、保育所の場所と駅の関係は重要と言えるでしょう。

産前産後の家事支援にも注目!ネウボラネットワークや産後ドゥーラの派遣制度もチェック!

品川区や世田谷区、渋谷区では、妊娠出産から子育て期までのサービスを一体化して提供する「ネウボラネットワーク」を提供しています。ネットワークを通じて産後の家事支援も提供されているので、子育ての中で家事負担を軽減できます。

「ネウボラ」とはフィンランド語で「助言の場」の意味で、妊娠から子育てまで途切れないサポートを行うための制度として設定されており、文京区のようにネウボラ相談員を置いている区もあります。

また、板橋区や大田区、目黒区のように産後の母子に対して家事や育児を行う専門資格を持った「産後ドゥーラ」の派遣をしている区や、品川区や新宿区のようにベビーシッター、家事支援の派遣に助成がある区もあるため、保育園に入園するまでの支援が手厚い区を選ぶことも大切です。

公園が豊富で遊び場が多い区は?児童公園の数にも注目

公園が豊富で遊び場が多い区は?児童公園の数にも注目

子どもの遊び場や自然と触れあう経験の場として、公園の数や広さ、施設の充実度は育児における大切なポイントです。

海上公園も含めると、東京都23区でもっとも公園面積が広いのは、4つの都立公園と、葛西海浜公園を有する江戸川区です。海水浴場や釣り、キャンプなども楽しめる大規模な公園施設では、都心にいながら自然を身近に感じることができます。

6つの都立公園と国営公園、19の海上公園がある江東区、公園あたりの面積が広い足立区は、緑豊かで水遊びやアスレチックなどのアクティビティが楽しめる、広々とした公園が多い地域です。

一方で、日常的に遊びに行く児童公園も大切です。

大田区には大小508件の公園があり、簡単な遊具がある児童公園が豊富です。これらの公園は子供たちの遊び場としてだけでなく、万一の際の一時避難所としても活用されています。

犯罪発生率や事故発生率が低く、治安がいい区は?自転車の事故にも注意

犯罪発生率や事故発生率が低く、治安がいい区は?自転車の事故にも注意

生活のしやすさには、犯罪発生率の低さや治安の良さが直結すると言っても過言ではありません。

2023年の警視庁の統計では、23区で人口に対する事故発生率が一番低いのは文京区でした。事件事故発生数も少なく、一番治安がよい区といえます。

罪種および手口文京区の犯罪認知件数
凶悪犯11
粗暴犯108
侵入窃盗29
非侵入窃盗636
その他320

また、人口に対する犯罪発生率では杉並区、練馬区も低く、どちらも人口が多い区ですが治安のよいエリアといえるでしょう。

ただし、練馬区は非侵入窃盗が多く、特に自転車の盗難が1,430件ととても多いため、通勤通学に自転車を利用している場合は、前輪をロックする機械式の自転車置き場を選んだり、前後に鍵を付けるなど、対策が必要です。

引用元
区市町村の町丁別、罪種別及び手口別認知件数 警視庁

子育てしやすい区を選ぶときは、助成金や補助金だけでなくトータルの環境で考えよう

子育てしやすい区を選ぶときは、助成金や補助金だけでなくトータルの環境で考えよう

子育てのしやすさは、助成金や補助金の金額だけでなく、産前産後を通して手当の手厚さや、広い公園や教育機関などの子育て環境、治安など、トータルで子育てしやすい区を選ぶことが大切です。

ネウボラネットワークや産後ドゥーラなどの整備が整っており、海浜公園や水族館がある品川区や、補助金の給付額が大きく、産前産後の経済的な支援が豊富な港区、多数の児童公園があり、家事ヘルパーの派遣など子育て支援が手厚い大田区など、各区によって支援の内容や特色も異なります。

また、その地域の物件価格も含めて検討することが大切です。通勤通学がしやすく、保育施設が周辺に多い駅を見付けるには、実際に住みたい駅に足を運び、周辺環境や雰囲気もしっかりと確認しましょう。

気になる物件と地域について詳しく知りたいときは、地元に強い不動産会社に相談するのもおすすめです。短時間の訪問ではわからない、さまざまな地域や学区域の情報を聞けることが多いので、是非お問い合わせください。

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