一戸建ての維持費はどれくらいかかる? 費用を抑える4つのコツを紹介

一戸建ての維持費はどれくらいかかる? 費用を抑える4つのコツを紹介
この記事のポイント
  • 一戸建ての維持費はどれくらいかかるのかが分かる
  • 維持費を抑えるコツが分かる
  • 家を建てる前にしっかりシミュレーションをするのがおすすめ

一戸建て住宅の取得にかかる費用は、建てるときにかかるものだけではありません。賃貸ではかからない費用が持ち家の場合は必要になってきます。そのため、維持費も含めて予算を検討することが重要です。

本記事では、一戸建てにかかる維持費の内訳と、その費用を抑えるコツを紹介します。

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一戸建ての維持費はどれくらいかかる?

一戸建ての住宅を新築で購入した際にかかる維持費の内訳と、かかる費用の目安について紹介します。

年間の維持費はどれくらい?

新築住宅を一年間維持するために必要となる費用は、30〜50万円くらいが目安です。ただしこの金額は、住宅や土地の評価額などによっても変わります。

不動産を所有することで発生する税金や、加入が義務となっている保険の保険料、そして住宅の修繕費が、住宅を維持するために必要となる主な費用の内訳です。

住宅ローンを借り入れた場合は、返済とは別にこれらの費用が必要になります。そのため、維持費も考慮した上で借入額・返済額を決めることが大切です。

30年間所有した場合にはどれくらいかかる?

一戸建ての新築住宅を30年間所有した場合にかかる費用の目安と内訳が下記の表です。

項目30年間の合計
税金240~450万円
保険料150~168万円
修繕費600~800万円
合計990~1,418万円

※上記の金額はあくまでも目安です。土地や建物の評価額によって費用は異なります。

30年間の合計が990〜1,418万円となるため、平均すると1年あたり30〜50万円くらいの維持費がかかることになります。項目ごとにどのような内訳で費用が発生するかを、順番に紹介します。

維持費としてかかるもの1|税金

維持費としてかかるもの1|税金

維持費として掛かる費用の1つ目は税金です。住宅を取得する際に必要な不動産取得税などの税金とは別に、住宅を所有することで継続的に課される税金について紹介します。

固定資産税

固定資産税は、毎年1月1日時点での土地、家屋などの所有者に対して課税される税金です。この税金は、基本的には市町村が徴収しますが、東京23区は特例で都が徴収します。

課税標準額は、固定資産の評価額によって変わり、軽減措置などがある場合はそれを適用して決まります。

税額は、課税標準額に税率を乗じて算出され、具体的には下記の計算式で求めることが可能です。

固定資産税額=課税標準額×税率(原則1.4%)

税率は原則として1.4%ですが、市町村は必要に応じて異なる税率を定めることも可能です。

また、2026年3月31日までの間に新築された住宅は、特定の条件を満たすと固定資産税が一定期間2分の1となる減額特例が適用されるなど、場合によっては減額措置があります。

引用元
総務省:地方税制度|固定資産税
東京都主税局:固定資産税・都市計画税(土地・家屋)

都市計画税

都市計画税は、都市計画事業または土地区画整理事業を行うための費用として課税される目的税です。課税は市町村の判断に委ねられており、2023年4月1日現在、全国の約3分の1の市町村が課税を実施しています。

税額は「固定資産税の課税標準額×税率」で算出。税率は法律により0.3%を上限と定められており、その範囲内で、市町村ごとの条例によって決定されます。

引用元
総務省:地方税制度|都市計画税
東京都主税局:固定資産税・都市計画税(土地・家屋)

維持費としてかかるもの2|保険料

維持費として掛かる費用の2つ目は保険料です。何に対しての保険料が必要になるかを紹介します。

火災保険

火災保険は、主に火災によって建物や家財に被害を受けた際に、その損害を補償する保険です。火災以外にも、洪水などの水災、台風や竜巻などの風災、落雷などによる被害も対象としたものが多くあります。

補償範囲は保険によって異なり、建物のみを対象にするものから家財も含めて幅広く補償するものまでさまざまです。

ただし、地震や津波を原因とする火災は、火災保険では補償されないことが多いため、別途、地震保険などの加入が必要です。

補償内容に加え、建物の構造や契約期間、地震保険の有無や契約する保険会社によって保険料が異なります。地震保険なしの場合、1年契約の場合は2万円前後、5年契約の場合は8~9万円で1年あたり1.6~1.8万円程度が一般的です。

地震保険

地震保険は、地震・噴火・津波を原因とする火災・損壊・埋没または流失による被害を補償する保険で、居住用の建物と家財が保険の対象となっています。そのため、住居として使用していない建物や有価証券、一定額以上の貴金属や宝石、自動車などは補償対象外です。

保険料は建物の構造のほか、所在地によっても異なります。また、建築年や耐震等級に基づいた割引制度もあります。

都道府県によって適用される地震保険の基本料率が異なるため、保険料の目安を紹介することは難しいですが、東京都を例に紹介しましょう。

例えば、財務省が公開している地震保険の基本料率をもとに計算すると、東京都の木造住宅の場合、建物の保険金額1,000万円、1年契約で申し込んだ場合の年間保険料は約37,000円となります。

ただし、地震保険は単体での申し込みができません。そのため、火災保険と合算して保険料が算出されます。また、実際の保険料は建物の状態や契約内容によって異なるため、正確な金額は保険会社や代理店に確認してください。

一般的には、契約年数が長いほど1年あたりの保険料も安くなります。また、対象となる物件が免震建築物としての条件を満たしている場合など、建物によって保険料が決まる条件はさまざまです。

引用元
財務省:地震保険制度の概要
e-Gov 法令検索:地震保険に関する法律
財務省:地震保険の基本料率(令和4年10月1日以降保険始期の地震保険契約)

維持費としてかかるもの3|修繕費

維持費としてかかるもの3|修繕費

維持費としてかかる費用の3つ目は修繕費です。

築10年を過ぎた頃から外壁や屋根、キッチン・浴室などの水回り、フローリングなどの修繕や設備交換が必要になってきます。

30年間で必要となる修繕費の目安は、総額で600~800万円ほどです。

修繕費用は毎年同じ額がかかるわけではありませんが、実際に修繕する際にはまとまった費用が必要となるため、計画的に積み立てておくと安心できるでしょう。

マンションの維持費はどれくらい?

一戸建てとマンションの維持費がどのくらい違うのかを、参考までに知りたいという人もいることでしょう。

一般的に、マンションに比べ一戸建ての方が、維持費が安価となる傾向があります。マンションの場合にかかる維持費の内訳を紹介します。

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マンションと一戸建てで維持費が高いのはどちら? 維持費を抑えるポイントとは

固定資産税・都市計画税

マンションの場合も、一戸建て住宅と同様に、固定資産税や都市計画税の課税対象です。

土地・建物の両方が課税対象となりますが、土地についてはマンションの敷地全体に対しての税額を所有者で按分するため、一戸建てに比べ安くなる傾向にあります。

しかし、マンションは立地条件の良い場所に立つことが多いため土地の評価額が高い可能性があり、一概に「マンションの方が土地の固定資産税が安い」とは言い切れません。

一方、建物にかかる固定資産税は、マンションの場合、鉄筋コンクリート造であることが多いため木造の一戸建てに比べ評価額が高くなりやすい傾向にあります。ただし、これも専有面積の広さなど、ほかの要因によっても変わります。

引用元
総務省:地方税制度|固定資産税
東京都主税局:固定資産税・都市計画税(土地・家屋)

保険料

マンションの場合も、火災保険・地震保険には加入しておいた方が安心でしょう。住宅ローンによっては、借入の必須条件として火災保険の加入が定められているケースも多くあります。

マンションは鉄骨・鉄筋コンクリート造で、耐火性や耐震性が高いことなどから、火災保険・地震保険ともに、一戸建てに比べ保険料が割安となるケースが一般的です。

修繕積立金

修繕積立金は、マンションの外壁やエレベーターなどの共用部分の修繕やメンテナンスのための積立金です。直近数年間の修繕のためだけではなく、10年20年後、もしくはもっと先の大規模な修繕にかかる費用も含んでいます。

金額の目安としては月額1~2万円ほどですが、大規模な補修が行われる際には別途、一時金が徴収されるケースもあるようです。

一戸建ての場合はマンションのように徴収されることはない分、自分で積み立てて修繕に備える必要があります。

仮に30年間一戸建てに住んだ場合の修繕費用の合計を800万円とした場合、平均すると月額が約22,000円となるため、金額差はあまりないように見えます。

しかし修繕積立金は、あくまでも共有部分の修繕のための積立金です。専有部分の修繕が必要になった場合は、別途費用が必要となることを覚えておきましょう。

管理費

修繕積立金はマンションの修繕のための費用として集められることに対し、管理費は、マンションの共用部分の管理のための費用として徴収されます。

管理人の人件費や共有部分で使用する掃除道具、共有部分にかかる火災保険や地震保険の保険料などが、管理費には含まれます。

金額の目安は月額1~2万円となっており、大規模マンションの方が費用を案分できる頭数が増えるため、管理費が割安になる傾向があるようです。ただし、共用設備の豪華さやコンシェルジュなどによる管理が手厚い場合は、大規模でも管理費が高い傾向にあります。

駐車・駐輪場代

駐車場代や駐輪場代は、所在地によって大きく異なります。近隣の月極駐車場の金額と同等に設定される傾向にあり、東京23区内は自動車1台分の駐車場代が3~5万円ほどが目安です。

一戸建てとマンションの維持費についてより詳細を知りたい方は、アドキャストが運営する以下のYouTubeでも解説しているので、ぜひチェックしてください。

一戸建ての維持費を抑える4つのコツとは?

一戸建ての維持費を抑える4つのコツとは?

一戸建ての維持費を抑えるコツを4つ紹介します。住宅を注文する前にチェックしておきたいポイントと、購入後にできることを両方紹介します。

1. 耐久性のある素材を選ぶ

耐久性のある素材や、メンテナンスが少なくて済む建築素材を利用して建てることをおすすめします。

購入時の値段を優先して安価な建築素材を選ぶと、メンテナンスの頻度が多くなり、結果的に高くつく可能性があります。

特に浴室やキッチンなどの水回りや、ドアや窓は、選ぶ素材によってはメンテナンスの頻度を減らせるでしょう。

また、外壁や屋根の塗装塗りなおし頻度を抑えられる素材もあります。

2. こまめにメンテナンス・修理を行う

こまめにメンテナンスや修理を行うことで、劣化のスピードを遅らせることができます。さらに、不具合があったときも早めに気づくことができるでしょう。これにより、完全に壊れてから修理するよりも、安い修理費用で済む可能性が高いです。

また、日頃からこまめに掃除やお手入れをすることで、異変にも気づきやすくなります。

3. アフターサービスの手厚い業者を選ぶ

家を建てる際は、アフターサービスの手厚い業者を選ぶと良いでしょう。

新築住宅には、法律で定められた10年間の保証義務があります。これは、注文者と契約を結んだ建設工事の請負人(ハウスメーカーや施工会社など)に課せられたものです。

ただし、この保証の範囲は住宅全体ではなく、構造耐力上の主要部と雨水の侵入を防止する部分に限られています。

業者によっては、この法律で定められている部分や期間以上の手厚いサポートを設けているケースもあるため、保証の範囲や期間は契約前にチェックしておきましょう。

また、相談窓口や無料点検の有無についても確認することをおすすめします。

引用元
e-Gov法令検索:住宅の品質確保の促進等に関する法律

4. 簡単な修繕は自分で行う

自分でできる修繕は業者に頼まず、自分で行うことで、修繕費用が抑えられます。DIYに挑戦する意欲があれば、壁紙や床の張替えなども自分で手がけることができます。

自分では対応しきれず業者へ修繕を依頼する場合は、相見積もりを取って比較しましょう。同じ内容の修理でも、依頼先によって金額に差が出るケースがあるためです。

家を建てる前にしっかりシミュレーションしておこう!

一戸建ての維持費を抑えるためには、建てる前の業者選びや建築資材選びがとても重要です。購入時の建物価格だけではなく、その後住んでからかかる維持費も含めて、家を建てる前にしっかりシミュレーションして準備しておきましょう。

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