- 既存住宅売買瑕疵保険について理解できる
- 既存住宅売買瑕疵保険のメリットは多いが注意点もある
- 既存住宅売買瑕疵保険の加入方法は売主さまによって異なる
中古物件を購入する際には、「既存住宅売買瑕疵保険」という保険制度が利用されることがあります。しかし、「瑕疵」という言葉は日常生活であまり見聞きする機会がないため、文字を見ただけでは読み方も意味もわからないという人もいるのではないでしょうか。
そこで、今回は既存住宅売買瑕疵保険について知識を深めましょう。保険の概要やメリット、注意点などを詳しく解説するので、中古住宅の購入に興味がある人はぜひ最後までご覧ください。
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既存住宅売買瑕疵保険とは?
まず、瑕疵(かし)とは、本来あるべき重要な機能・品質・状態などが正常に備わっていないことです。住宅における瑕疵としては、建築基準の面での大きな欠陥や不具合が該当します。
そこで、中古住宅を購入するときのために、「既存住宅売買瑕疵保険」という保険制度が用意されています。どのような保険なのか、下記で詳しく見ていきましょう。
保険機関が補修費用を負担してくれる保険
既存住宅売買瑕疵保険は、検査と修繕がセットになっており、住宅の不具合修理にかかる費用をカバーしてくれます。
義務ではなく任意加入の保険ですが、保険料は原則として不動産会社などが負担し、保険機関が補修費用を持ってくれるので、買主さまは安心して物件を購入できることがメリットです。
対象となる範囲とは?
既存住宅売買瑕疵保険の対象範囲には限りがあります。
住宅がある敷地内全てのものが対象になるわけではなく、建物に限られることはもちろん、屋根や外壁などの雨水が侵入するのを防ぐ部分・建物の基礎や柱などの基本構造部分・給排水管や壁などの生活に欠かせない部分といったように、建物のなかでも主要な範囲です。
なお、キッチン・トイレ・ユニットバスのような付帯設備は対象外であることが多いので、付帯設備の保証も欲しい場合は、事前にしっかり確認しておかなければなりません。
保険の内容と保証期間は?
既存住宅売買瑕疵保険の加入者は、不動産会社や検査を行う事業者です。また、前述したように、保険の内容は建物や設備の検査と保証です。保証期間は1年・2年・5年のいずれかで、保証される金額は500万円または1,000万円と決められています。
売主さま | 保険加入者 | 保証期間 | 保証金額 |
---|---|---|---|
宅建取引業者(不動産会社など) | 宅建取引業者 | 2年・5年のいずれか | 500万円 または 1,000万円 |
個人 | 宅建取引業者 | 1年・2年・5年のいずれか | |
個人 | 検査を行う事業者 | 1年・5年のいずれか |
既存住宅売買瑕疵保険はなぜ必要なの?
ここで、既存住宅売買瑕疵保険の必要性を理解しましょう。
中古住宅は、中古であるがゆえに、築年数による経年劣化や前の住民の住み方などによっては大きな不具合が潜んでいる可能性があります。そのため、買主さま側のリスクを軽減して中古住宅の流通を増やすためには、既存住宅売買瑕疵保険の有無が重要なポイントの一つ。
仮に保険のない中古物件を購入し、入居後に何らかの修繕が必要になった場合は、修繕費が数百万円かかることもあります。補修する内容にもよりますが、物件の購入代金とは別にこのような費用がかかることになった場合、買主さまにとっては大きな負担です。
既存住宅売買瑕疵保険のメリットとは?
ここからは、既存住宅売買瑕疵保険のメリットを解説します。
1. 安心して中古住宅を購入できる
既存住宅売買瑕疵保険つきの物件は、建築士などの専門家による「インスペクション」という検査に合格した物件です。建築のプロから、基本的な基準をクリアしているというお墨付きがもらえるため、売主さまも買主さまも安心して契約できるでしょう。
2. 万が一の際には補修費用が支払われる
購入時に一定の検査基準はクリアしていますが、売買契約が終わった後に不具合が見つかることもあります。引っ越してから欠陥に気づいた場合でも、既存住宅売買瑕疵保険の保証期間内なら、買主さま側は負担金なしで修理してもらえます。
補修費用を保険でまかなってもらえるので、万が一の際も安心です。
3. 住宅ローン控除を受けられる
既存住宅売買瑕疵保険への加入は、住宅ローン減税の適用条件の一つです。あわせて下記のような項目に当てはまる場合は控除を受けられる可能性があります。
- 建築後に使用していること
- 築年数が20年(鉄骨や石造などの場合は25年)以内
- 耐震基準に適合していること など
引用元
国税庁|No.1214 中古住宅を取得した場合(住宅借入金等特別控除)
4. 特約でリフォームも対象になる
既存住宅売買瑕疵保険には、「引渡後リフォーム特約」というものをつけられる場合もあります。基本構造部分に加え引渡後6ヶ月以内に保険対象となるリフォームを行った部分に瑕疵があった場合保険金が支払われる、という特約です。天井・壁・床や建具、塗装、電気の配線、給水の配管などのリフォームが対象です。
ただし、適用されるためには条件があるので、満たしているかどうかしっかりチェックしましょう。
尚、引渡後リフォーム特約は住宅保証機構の商品の一つで事業所が住宅保証機構以外で既存住宅売買瑕疵保険に加入している場合、この特約を付帯することはできない場合もあります。
既存住宅売買瑕疵保険の注意点とは?
既存住宅売買瑕疵保険のメリットとあわせて、ここからは注意点を押さえましょう。
1. 加入するには検査に合格しなければならない
既存住宅売買瑕疵保険に加入する前に、販売する中古住宅の検査を受け、クリアしなければなりません。なお、中古物件の場合一発でクリアすることが難しいとされていますが、もし不合格だった場合は補修して再検査をすることが可能です。
2. 旧耐震基準の建物は加入対象外
中古住宅の売買では、建物の耐震強度も重要な点です。既存住宅売買瑕疵保険に加入する場合、昭和56年6月以降の「新耐震基準」で建てられた住宅のみが対象で、それ以前の「旧耐震基準」の住宅は対象外であることに注意しましょう。
3. 全ての不具合をカバーするわけではない
既存住宅売買瑕疵保険は、購入後に起きる不具合の全てをカバーしてくれるわけではないことにも注意が必要です。
保証対象について前述したように、保険は建物の主要な部分のみに適用されます。そのため、たとえば構造に関係のないひび割れや結露による傷みなどが起きた場合は補償の対象外です。
4. 次の所有者には引き継げない
既存住宅売買瑕疵保険は、保証期間が残っていても基本的には次の所有者に引き継ぐことができません。
どういうことかというと、たとえば5年の保証期間がある物件を購入から2年で売却した場合、保証期間には3年分の余りが発生しますが、購入者(物件の新しい所有者)には既存住宅売買瑕疵保険が適用されないのです。
既存住宅売買瑕疵保険の加入の流れを紹介
既存住宅売買瑕疵保険の加入方法は売主さまによって異なります。そこで、売主さま別に具体的な加入の流れを見ていきましょう。
1. 売主さまが宅建業者の場合
まず、売主さまが不動産会社など宅建業者の場合は、以下のような流れで加入します。
- 宅建業者が住宅瑕疵担保責任保険法人に申し込みをする
- 保険法人が対象住宅の検査を実施する
- 検査クリア後に保険加入契約を締結する
加入後、保証期間内に保険対象に該当する瑕疵が起きた際には、保険法人から宅建業者へ修繕費用が支払われる仕組みです。また、万が一宅建業者が倒産していた場合は、買主さまが直接修繕費を受け取れます。
引用元
国土交通省|既存住宅売買瑕疵保険(宅建業者販売タイプ)
2. 売主さまが宅建業者以外の場合|個人など
売主さまが個人など宅建業者以外の場合は、下記のような流れです。
- 売主さまが検査事業者に検査と保証を依頼する
- 検査事業者が住宅瑕疵担保責任保険法人に申し込みをする
- 保険法人もしくは検査事業者が対象住宅の検査を実施する
- 検査クリア後に保険加入契約を締結する
この場合も、瑕疵の修繕が行われた際の保険金は検査事業者に支払われ、検査事業者が倒産した場合は買主さまに直接給付されます。
引用元
住宅瑕疵担保責任保険協会|既存住宅売買のかし保険(個人間売買タイプ)
既存住宅売買瑕疵保険は保険機関が補修費用を負担してくれる保険
既存住宅売買瑕疵保険とは、中古住宅を購入する際に売主さま側がつけてくれる可能性がある任意保険です。買主さまにとっては欠陥があった場合の修繕費用を負担するリスクを減らすことができ、住宅ローン控除やすまい給付金を受けられる可能性があるなど、大きなメリットがあります。
強制ではなく、保証の対象範囲も決められているなどの注意点はありますが、加入している物件のほうが安心であることは間違いありません。
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