建売住宅の諸費用とは?目安と内訳・シミュレーションを紹介

建売住宅の諸費用とは?目安と内訳・シミュレーションを紹介
この記事のポイント
  • 建売住宅を購入する際は購入額の5~10%程度の諸費用が必要
  • 諸費用の内容には、印紙税・仲介手数料・登記費用などがある
  • 購入前に諸費用のシミュレーションをしておくと購入計画をスムーズに進めやすい

土地と建物がセットになって販売される「建売住宅」は、価格が安めで手続きも比較的手間が少ないため、マイホームとして人気が高い住宅タイプの一つです。

しかし、購入時には住宅そのものの価格以外に「諸費用」がかかります。諸費用とはいえ合計すると軽視できない金額になるため、どんな項目がありどの程度かかるのかを理解しておくことが重要です。

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建売住宅の諸費用とは?

建売住宅の諸費用とは、住宅を購入する際に土地と建物の代金以外に必要なさまざまな費用の総称です。建売住宅の場合、諸費用の目安は購入代金の5~10%程度とされています。では、どんなものにどのくらいの費用がかかるのか、次章から内訳を見ていきましょう。

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建売住宅を購入する前にかかる諸費用

建売住宅を購入する前にかかる諸費用

ここでは、諸費用のうち、建売住宅を購入する前にかかるものを挙げます。

1. 手付金

手付金とは、物件の売買契約を結ぶときに支払うお金のこと。特に定めはありませんが、一般的には物件価格の5~10%程度です。なお、不動産会社から物件を購入する場合は「宅地建物取引業法」という法律で上限が決められており、20%です。

【宅地建物取引業法】

(手付の額の制限等)

第三十九条 宅地建物取引業者は、自ら売主となる宅地又は建物の売買契約の締結に際して、代金の額の十分の二を超える額の手付を受領することができない。

引用元
宅地建物取引業法 | e-Gov 法令検索

手付金には、解約手付・違約手付・証約手付の3種類があり、解約手付は、万が一契約後に解約したいと考えた際、放棄(買主さま理由での解約)または倍額の償還(売主さま理由での解約)によって契約を解除できるようにするという意図で、売主さまに預けます。

どちらも解約することなく契約が進めば、手付金は購入代金の一部に充てられるため、諸費用とは別として考えられるケースもあります。

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2. 印紙税

印紙税とは、契約書や金銭の受取書などに課される国税です。契約金額に応じて税額が変わり、建売住宅の購入では、売買契約書に契約額に応じた収入印紙が貼られます。

なお、不動産や建設工事の分野では、令和9年3月31日までは軽減措置があり、本則の半額程度になることも。たとえば、1,000万円超5,000万円以下の取引では2万円が1万円に、5,000万円超1億円以下の取引では6万円が3万円に減額されます。

ただし、2021年5月の「デジタル改革関連法」の成立に伴い、押印や書面化の義務が緩和され、2022年5月の「宅建業法」の改正により、IT重説に加え「電子契約」が全面的に解禁されました。そのため、上記の印紙代は不要になりました。(印紙税法の課税対象外)

電子契約のその他のメリットとして、コスト削減(書面作成・保管場所など)や業務効率の向上(移動時間・日程調整など)といった点があります。

※注意点として、電子契約を行う際には売主さま・買主さまともに「承諾」が必要なため、取り引きごとに確認が必要です。

引用元
令和7年5月 印紙税の手引|国税庁
No.7140 印紙税額の一覧表(その1)第1号文書から第4号文書まで|国税庁
「不動産譲渡契約書」及び「建設工事請負契約書」の 印紙税の軽減措置の延長について|国税庁

建売住宅を購入するときにかかる諸費用

次に、建売住宅を購入するときにかかる諸費用を5つ紹介します。

1. 仲介手数料

仲介手数料とは、宅地建物取引業者(不動産会社)に仲介してもらって不動産契約を行った場合に、業者が仲介依頼者から受け取れるお金のこと。金額に応じて上限の料率が決まっているため、不当に高額請求されることはありません。

なお、仲介手数料の一般的な計算式は、物件価格×3%+6万円+消費税です。

引用元
建設産業・不動産業:<消費者の皆様向け>不動産取引に関するお知らせ|国土交通省

2. 不動産取得税

不動産取得税とは、不動産を取得した年に都道府県に納める税金です。課税標準額の4%(令和9年3月31日までは3%)ですが、軽減措置があり、一定の条件を満たしている建売住宅の場合は非課税になる可能性もあります。

引用元
不動産取得税|総務省
■ 不動産取得税の軽減制度について ■|東京都主税局

3. 登録免許税

登録免許税とは、土地や建物などの所有権の移転登記や新規登記の際に必要な税金です。登記の種類によって税率が異なります

土地の「売買」の場合は固定資産評価額の2%(特例により令和8年3月31日までは1.5%)、建物の「所有権の保存」の場合は固定資産評価額の0.4%(令和9年3月31日までは0.1~0.15%)です。

引用元
No.7191 登録免許税の税額表|国税庁

4. 司法書士報酬

上記のような登記の手続きは自分でできないわけではありませんが、素人では手間も時間もかかるため現実的ではありません。そこで、一般的に、プロである司法書士に依頼して代行してもらいます。

ただし、司法書士に行ってもらう場合は報酬が必要です。金額は法律などでは決まっておらず、依頼する相手や登記の種類などによって変わる可能性があるので、相談時に確認しましょう。

引用元
司法書士の報酬|日本司法書士会連合会
報酬アンケート結果(2024年(令和6年)3月実施)|日本司法書士会連合会

5. 固定資産税・都市計画税

固定資産税とは、不動産などを所有している場合に義務化される税金です。毎年1月1日時点での資産所有者が、年間の税額を市町村に納めなければなりません。

また、都市計画税は、都市計画や土地区画整理などの市町村事業のために、地域によって課される可能性のある地方税です。固定資産税と同様、年初に支払いを行います。

一年の途中で不動産の引き渡しがあった場合には、売主さまが年間分を払っているため、一般的には引き渡し日を基準として日割りで清算します。

引用元
固定資産税|総務省
都市計画税|総務省

住宅ローンを利用する際にかかる費用

住宅ローンを利用する際にかかる費用

つづいて、住宅ローンを利用する際にかかる諸費用をチェックしましょう。

1. 印紙税

印紙税は、前述したように契約書などにかかる税金です。住宅ローンの契約時には、「金銭消費貸借契約書」を交わします。この契約書にも収入印紙を貼らなければなりません。ただし、住宅ローンの場合は不動産契約時のような軽減措置がないため、税額は本則通りです。

なお、こちらも電子契約を行った場合は、不要となります。

引用元
令和7年5月 印紙税の手引|国税庁
No.7140 印紙税額の一覧表(その1)第1号文書から第4号文書まで|国税庁
デジタル改革関連法の全体像(令和3年5月19日公布)|厚生労働省
ITを活用した重要事項説明及び書面の電子化について|国土交通省

2. 登録免許税

前述のように、登録免許税は、登記にかかる税金です。住宅ローンの契約では、金融機関が担保を設定するために、抵当権の設定登記が必要になります。住宅用家屋の抵当権の設定登記では、通常は借入額の0.4%ですが、令和9年3月31日までは0.1%です。

引用元
No.7191 登録免許税の税額表|国税庁

3. 司法書士報酬

上記の抵当権設定登記を司法書士に依頼する場合は、住宅の売買契約時と同様に報酬が必要です。登録免許税と合わせると、数十万円かかることもあります。

4. ローン手数料・保証料

住宅ローン契約では、金融機関に支払う融資事務手数料のほか、保証会社に支払うローン保証料(借入額の0.2~2%程度)が必要になることもあります。

融資手数料には定額型と定率型があり、定額型では3~5万円程度、定率型では借入額の2.2%というケースが多いようです。

5. 火災保険料・地震保険料

火災保険は、住宅ローンを利用する際に必須にしている金融機関が多いです。契約内容によって保険料が異なります。

また、地震保険は単体では入れず、火災保険とセットで加入できる保険です。地震リスクの高いところでは、保険料が高めになりやすいことも知っておきましょう。

諸費用をシミュレーションしてみよう

ここまでの内容をもとに、9,000万円(課税標準額:土地6,500万円・建物2,500万円/課税床面積100平米・敷地面積200平米)の建売住宅購入時(住宅ローン借入額を7,000万円とする)の諸費用をシミュレーションしてみましょう。

ただし、費用は概算で、必ずしもこの金額になるというわけではないため、目安として考えてください。

項目金額
仲介手数料3,030,000円
印紙税3万円
※不動産売買契約書:1万円(軽減措置あり)、
金融消費貸借契約書:2万円
不動産取得税0
※軽減措置あり:土地6,500万円・建物2,500万円、
課税床面積100平米・敷地面積200平米、
居住用住居・認定長期優良住宅で計算
固定資産税
清算金
105,500円
※1年のちょうど半分で引き渡しがあったと仮定、
211,000円(土地106,000円、建物105,000円)の半額
登録免許税815,000円※土地と建物:745,000円
(軽減措置あり:新築・認定長期優良住宅の一戸建て・
床面積50平米以上で計算)、
住宅ローン:7万円(7,000万円×0.1%)
司法書士報酬不動産契約時と住宅ローン契約時の合計
20万円(仮定)
住宅ローン
手数料
154万円
※7,000万円×2.2%で計算
ローン保証料14万円
※7,000万円×0.2%で計算
火災保険料30万円(仮定)
合計6,160,500円

※電子契約の場合、印紙税は不要

建売住宅の購入前に諸費用をしっかりとシミュレーションしておこう!

建売住宅の購入前に諸費用をしっかりとシミュレーションしておこう!

建売住宅を購入する際には、契約前・契約時・住宅ローン利用時と、段階に応じて多くの諸費用が発生します。契約額・課税標準額や、住宅の種類・性能、手続きの依頼先などによっても異なるため、一概にいくらとはいえません。

しかし、項目や税率などの目安は把握できたはずなので、購入する前に自分の状況を当てはめながらシミュレーションし、資金計画を立てましょう。

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