住宅ローン減税とは? 中古住宅で控除を受けるための要件を紹介

住宅ローン減税とは? 中古住宅で控除を受けるための要件を紹介
この記事のポイント
  • 令和6年度の税制改正のポイントが分かる
  • 2024年以降に中古住宅で住宅ローン控除を受けられる条件が分かる
  • 控除を受けるためには2025年末までの入居が必要なので、物件探しを始めよう

家を購入するにあたって利用できる制度はさまざまですが、その中の一つに「住宅ローン減税」があります。しかし、「住宅ローン減税」という言葉は知っていても、具体的にどんなものなのか知らない、という方もいるのではないでしょうか。

また、税金に係る制度ですが、税制度は毎年のように改定されることも多く、昔は使えていた制度が使えない、または新しい制度が追加されたことを知らない、ということもあるかもしれません。

そこで今回は、「住宅ローン減税」とはどんなものなのか、2024年以降に利用するにはどんな条件があるのか、中古住宅の購入で控除が受けられるのかなどについて解説します。

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住宅ローン減税(控除)とは?

まずは、住宅ローンとはどういったものなのか、概要を見ていきましょう。

国土交通省が発表しているデータによると、以下のように記載されています。

「個人が住宅ローン等を利用して、マイホームの新築、取得又はリフォームをし、自己の居住の用に供した場合で一定の条件を満たす場合、その取得等に係る住宅ローン等の年末残高の合計額等を基として計算した金額が、居住の用に供した年分以後の各年分の所得税額や個人住民税額から控除されるものです。」

引用元
国土交通省|住宅ローン減税 Q & A(2024年4月更新)

つまり、住宅ローンを利用して住宅を新築・購入、またはリフォームをした人に対し、所得税や住民税を控除して、金利負担を軽減するという制度です。

引用元
国土交通省|住宅ローン減税
国土交通省|住宅ローン減税制度について

令和6年度税制改正のポイントとは? なぜ変更されたの?

住宅ローン控除の制度は、令和6年度の税制改正において変更が入りました。変更点は、以下の通りです。

(1)住宅ローン減税

  • 借入限度額について、子育て世帯・若者夫婦世帯が令和6年に入居する場合には一定の上乗せ措置を講ずることで、令和4・5年入居の場合の水準(認定住宅:5,000万円、ZEH水準省エネ住宅:4,500万円、省エネ基準適合住宅:4,000万円)を維持する。
  • 新築住宅の床面積要件を40㎡以上に緩和する措置(合計所得金額1,000万円以下の年分に限る。)について、建築確認の期限を令和6年12月31日(改正前:令和5年12月31日)に延長する。

(2)住宅取得等資金に係る贈与税の非課税措置

  • 受贈に係る適用期限を3年間(令和6年~8年)延長する。
  • 非課税限度額が1,000万円に上乗せされる「良質な住宅」の要件について、新築住宅の省エネ性能要件をZEH 水準(断熱等性能等級5以上かつ一次エネルギー消費量等級6以上)とする※。

※令和5年12月31日までに建築確認を受けた住宅又は令和6年6月30日までに建築された住宅については、現行要件(断熱等性能等級4以上又は一次エネルギー消費量等級4以上)のまま。

(3)既存住宅のリフォームに係る所得税の特例措置

  • 適用期限を2年間(令和6年~令和7年)延長する。
  • 子育て世帯・若者夫婦世帯が子育てに対応した住宅への一定のリフォームを行う場合についても、本特例措置の対象に追加する(適用期間:令和6年4月1日~令和6年12月31日)。
引用元
国土交通省|住宅ローン減税の制度内容が変更されます! ~令和6年度税制改正における住宅関係税制のご案内

ここでポイントになるのは、住宅ローン減税の制度を利用するには、住宅の省エネ性能が省エネ基準に適合していることが必須要件となったことです。ただし、これらの条件は新築住宅のもので、中古住宅においては令和4年の改正時から変更はありません。

なお、中古住宅の住宅ローン控除の条件については、後ほど詳しく解説します。

引用元
国土交通省|住宅ローン減税
国土交通省|住宅ローン減税 省エネ要件化等についての 説明会資料

変更された理由とは?

住宅ローン控除の条件が改正された背景には、2025(令和7)年4月に施行される「改正建築物省エネ法」があります。

この改正建築物省エネ法は、地球温暖化対策等の削減目標を強化するにあたり、日本でエネルギー消費量の約3割もを占める建築物のエネルギー消費性能の向上を図るために制定されました。

改正建築物省エネ法の施行以降は、住宅の規模に関わらず、すべての住宅に省エネ基準に適合した省エネ性能を確保することが義務化されます。そのため、省エネ性能の高い住宅を増やすために、2024年1月から、住宅ローン控除の条件にも省エネ基準への適合が加えられました。

引用元
国土交通省|住宅:建築物省エネ法のページ

2024年に中古住宅で住宅ローン控除を受けるための条件とは?

2024年に中古住宅で住宅ローン控除を受けるための条件とは?

新築住宅で住宅ローン控除を利用するには、省エネ基準に適合する省エネ性能を持つ住宅であることはおわかりいただけたのではないでしょうか。

一方、中古住宅で住宅ローン控除を利用する条件はどんなものなのでしょうか。国土交通省と国税庁の基準によると、以下の通りです。

  • その者が主として居住の用に供する家屋であること
  • 床面積が50㎡以上であること
  • 合計所得金額が2,000万円以下であること
  • 住宅の引渡し又は工事完了から6ヶ月以内に居住の用に供すること
  • 店舗等併用住宅の場合は、床面積の1/2以上が居住用であること
  • 借入金の償還期間が10年以上であること
  • 取得等した家屋が既存住宅の場合、以下のいずれかを満たすものであること
    • 1)1982年1月1日以後に建築されたもの
    • 2)建築後使用されたことのあるもので、地震に対する安全性に係る基準に適合するものとして、以下のいずれかにより証明されたもの・耐震基準適合証明書※2 
    • ※2 家屋の取得の日前2年以内にその証明のための家屋の調査が終了したものに限る・建設住宅性能評価書の写し※3 
    • ※3 家屋の取得の日前2年以内に評価されたもので、耐震等級(構造躯体の倒壊等防止)に係る評価が等級1、等級2又は等級3であるものに限る・既存住宅売買瑕疵保険付保証明書※4 
    • ※4 家屋の取得の日前2年以内に締結されたものに限る
  • 買取再販住宅の場合及び一定の増改築等工事を実施した場合、居住の用に供する家屋について行う増改築等が、一定の工事に該当することにつき「増改築等工事証明書」により証明されたものであること
  • 一定の増改築等工事を実施した場合、増改築等の工事に要した費用の額が100万円超であること

引用元
国土交通省|住宅ローン減税制度について
国税庁|No.1214 中古住宅を取得した場合(住宅借入金等特別控除)

提示されている条件からわかるように、既存住宅(中古住宅)には省エネ基準は適用されていません。代わりに、新耐震基準であるかどうかが制度を利用できる条件となっています。

引用元
国土交通省|住宅ローン減税 Q & A(2024年4月更新)
国税庁|No.1211-3 中古住宅を取得し、令和4年以降に居住の用に供した場合(住宅借入金等特別控除)

中古・新築に共通の基本的な要件

前項で紹介した条件のうち基本的な、中古住宅だけでなく、新築住宅にも共通する要件は、以下の通りです。

  • その者が主として居住の用に供する家屋であること
  • 床面積が50㎡以上であること
  • 合計所得金額が2,000万円以下であること
  • 住宅の引渡し又は工事完了から6ヶ月以内に居住の用に供すること
  • 店舗等併用住宅の場合は、床面積の1/2以上が居住用であること
  • 借入金の償還期間が10年以上であること

引用元
国土交通省|住宅ローン減税制度について

住宅ローン控除制度を利用するためには、新築・中古に関わらずこれらの要件を満たしていなければいけません。

中古住宅にのみ必要な要件

新築住宅には適用されず、中古住宅にのみ必要な要件は以下のとおりです。

  • 取得等した家屋が既存住宅の場合、以下のいずれかを満たすものであること
    • 1)1982年1月1日以後に建築されたもの
    • 2)建築後使用されたことのあるもので、地震に対する安全性に係る基準に適合するものとして、以下のいずれかにより証明されたもの・耐震基準適合証明書※2 
    • ※2 家屋の取得の日前2年以内にその証明のための家屋の調査が終了したものに限る・建設住宅性能評価書の写し※3 
    • ※3 家屋の取得の日前2年以内に評価されたもので、耐震等級(構造躯体の倒壊等防止)に係る評価が等級1、等級2又は等級3であるものに限る・既存住宅売買瑕疵保険付保証明書※4 
    • ※4 家屋の取得の日前2年以内に締結されたものに限る

引用元
国土交通省|住宅ローン減税制度について

中古住宅の住宅ローン控除率・控除額とは? 上限はどれくらい?

中古住宅は省エネ性能の基準適合を求められませんが、適合している住宅としていない住宅では借入限度額が異なります。住宅の環境性能ごとの借入限度額は、以下の通りです。

住宅の環境性能等借入限度額控除期間
2024・2025年入居
長期優良住宅
低炭素住宅
ZEH水準省エネ住宅
省エネ基準適合住宅
3,000万円10年間
その他の住宅2,000万円

引用元
国土交通省|住宅ローン減税制度について

控除率は0.7%です。例えば、長期優良住宅の認定を受けた中古住宅を購入して住宅ローン借入額が3,000万円の場合、3,000万円の0.7%である21万円が所得税から還付されます。所得税が21万円に満たない場合、差額はさらに住民税から還付されます。

なお、計算の元になる借入額は、その年末の借入残高です。返済が進むにつれ、控除額が下がることに注意してください。

ここからは、各住宅の概要について詳しく見ていきましょう。

引用元
国土交通省|住宅ローン減税 Q & A(2024年4月更新)
国税庁|No.1211-3 中古住宅を取得し、令和4年以降に居住の用に供した場合(住宅借入金等特別控除)

長期優良住宅|3,000万円

長期優良住宅とは、子や孫などの次世代まで、長期にわたって良好で安全な状態で住み続けるための措置が講じられたと認定を受けた優良な住宅のことです。

国土交通省によれば、以下の5つの措置が講じられた住宅とされています。

  • 長期に使用するための構造及び設備を有していること
  • 居住環境等への配慮を行っていること
  • 一定面積以上の住戸面積を有していること
  • 維持保全の期間、方法を定めていること
  • 自然災害への配慮を行っていること

引用元
国土交通省|既存版「長期優良住宅の普及の促進に関する法律」の長期優良住宅認定制度の概要について

長期優良住宅の借入限度額は3,000万円なので、住宅ローン控除の最高額は年間21万円です。

低炭素住宅|3,000万円

低炭素住宅は、一般の住宅と比較すると二酸化炭素の排出量を抑制するような構造の住宅のことで、都道府県や市・区などの所管行政庁が認定する住宅です。

低炭素住宅の認定を受けるには、以下の要件を満たしている必要があります。

  • 建築物の低炭素化に資する建築物の新築
  • 低炭素化のための建築物の増築、改築、修繕若しくは模様替え
  • 低炭素化のための建築物への空気調和設備、その他の政令で定める建築設備の設置
  • 建築物に設けた空気調和設備等の改修

引用元
一般社団法人 住宅性能評価・表示協会|低炭素建築物認定制度

低炭素住宅の借入限度額は3,000万円なので、住宅ローン控除の最高額は年間21万円です。

ZEH水準省エネ住宅|3,000万円

ZEH水準省エネ住宅とは、屋根や壁などの断熱性能を強化したり、高効率設備を導入したりするなどで、居住にあたって使用するエネルギー量を減らすことができる仕様になっている住宅のことです。

ZEH水準省エネ住宅は、断熱等性能等級5および一次エネルギー消費量等級6の両方を満たす必要があります。

引用元
国土交通省|住宅性能表示制度の省エネ上位等級の創設

ZEH水準省エネ住宅の借入限度額は3,000万円なので、住宅ローン控除の最高額は年間21万円です。

省エネ基準適合住宅|3,000万円

省エネ基準適合住宅とは、国が定めている基準を満たした省エネ性能を持つ住宅のことです。前項でも紹介した断熱等性能等級と一次エネルギー消費量等級のうち、両方の4等級以上を満たす住宅を指します。

引用元
国土交通省|住宅性能表示制度の省エネ上位等級の創設
国土交通省|質問 回答 1 借入限度額4,000万円の対象となる「省エネ基準適合住宅」とは

省エネ基準適合住宅の借入限度額は3,000万円なので、住宅ローン控除の最高額は年間21万円です。

その他の住宅|2,000万円

その他の住宅とは、いずれの基準も満たさず、認定を受けていない住宅のことです。その他の住宅の借入限度額は2,000万円なので、住宅ローン控除の最高額は年間14万円です。

なお、各種の住宅の環境性能等を示すためには証明書の発行が必須です。いくら基準を満たした住宅でも、証明書がなければ「その他の住宅」として扱われてしまいます。

いずれかの性能の中古住宅の購入を考えている場合、証明書を発行できるかしっかりと確認しましょう。

控除の申請方法とは?

控除の申請方法とは?

住宅ローンを利用して中古住宅を購入しても、そのままでは住宅ローン控除を受けることはできません。ここからは、住宅ローン控除の申請方法を見ていきましょう。

引用元
国土交通省|住宅ローン減税制度について
国土交通省|住宅ローン減税 Q & A(2024年4月更新)
国税庁|No.1211-3 中古住宅を取得し、令和4年以降に居住の用に供した場合(住宅借入金等特別控除)

いつ申請するの?

住宅ローン控除は、入居翌年の確定申告で申請を行います。例えば8月に入居した場合、年が明けた1月1日~3月15日(個人事業主は2月16日~3月15日)に確定申告をすることで、住宅ローン控除を受けられます。詳しくは、管轄の税務署に問い合わせてください。

引用元
国土交通省|住宅ローン減税 Q & A(2024年4月更新)
国税庁|No.1211-3 中古住宅を取得し、令和4年以降に居住の用に供した場合(住宅借入金等特別控除)
国税庁|【確定申告・還付申告】

どんな書類が必要なの?

住宅ローン控除の申請に必要な書類は、以下の通りです。

  • 確定申告書
  • 源泉徴収票
  • (特定増改築等)住宅借入金等特別控除額の計算明細書
  • 住宅取得資金に係る借入金の年末残高等証明書
  • 家屋の登記事項証明書
  • 家屋の工事請負契約書または家屋の売買契約書の写しなどで家屋の取得対価の額を明らかにする書類
  • 建築士等が発行した耐震基準適合証明書や建設住宅性能評価書・証明書など
  • マイナンバーカード

など

引用元
国税庁|No.1211-3 中古住宅を取得し、令和4年以降に居住の用に供した場合(住宅借入金等特別控除)

2年目からも確定申告は必要?

2年目からの申請では、お勤めで年末調整を受けられる方は、そちらで適用できるようになるので確定申告は不要です。勤務先に「給与所得者の住宅借入金等特別控除申告書」と「住宅取得資金に係る借入金の年末残高等証明書」を提出してください。

なお、個人事業主の方は、2年目以降も毎年の確定申告時に住宅ローン控除の申請をしてください。

引用元
国税庁|No.1211-3 中古住宅を取得し、令和4年以降に居住の用に供した場合(住宅借入金等特別控除)

2024~2025年に中古住宅を購入する場合のポイント

2024~2025年の間に中古住宅の購入と住宅ローン控除の利用を考えている場合、どんな点に気をつけなければならないでしょうか。

実は、中古住宅の住宅ローン減税制度では、入居期間は現状では2025年末までです。そのため、それまでに物件を見つけて購入、入居する必要があります。

2026年以降、住宅ローン減税はどうなるの?

2026年以降、住宅ローン減税はどうなるの?

中古住宅の購入で住宅ローン減税を利用するためには、2025年末までに入居する必要がある、と前述しました。それでは、2026年以降の住宅ローン減税はどうなるのでしょうか?

現状では、2026年以降に入居する場合に住宅ローン減税を受けられるかどうかはわからない状況です。また、もしも期間が引き延ばされたとしても、今より減税効果が上がるとは考えにくいです。

そのため、中古住宅の購入を迷っているのであれば、先延ばししてどんな税制改正が行われるのか待つよりも、今の控除を利用するほうがお得な減税制度を利用できると考えられるでしょう。

控除要件をしっかり押さえて中古物件を探そう!

中古住宅の購入に住宅ローンを利用する場合、所得税・住民税から還付される住宅ローン減税制度が利用できます。

長期優良住宅や低炭素住宅などの省エネ基準を満たした住宅であれば、借入限度額が高くなるため、より大きな減税を受けることができます。また、省エネ基準を満たしていない住宅であっても、1982年以降に建築され新耐震基準を満たしている住宅であれば、減税を受けられます。

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