- 共有名義とは何かがわかる
- 土地を夫婦名義にするメリットと注意点が理解できる
- 共有名義にする前にメリットと注意点を把握することでトラブルを防げる
土地の取得にあたり、家族のうち誰の名義にするかと頭を悩ませる方もいることでしょう。たとえば、「妻より夫のほうが高収入だから夫の名義にしよう」と安易に決めてしまうと、将来後悔したりトラブルが起きたりすることにもなりかねません。
実は、夫婦の共有名義にする方法もあります。名義人とはどのような立場なのかを理解し、夫婦共有名義のメリットと注意点も知った上で、検討してみてはいかがでしょうか。
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土地を購入する場合の「共有名義」とは?
土地の共有名義とは、複数人で土地を取得し、全員が所有権を登記していること。実は、土地の所有者は1人でなくてもかまいません。そのため、夫婦や親子で共有名義にするというのもよくあるケースです。
一方、1人のみで登記している場合は「単独名義」といいます。一家の大黒柱が単独で名義人を担っているという家庭も多いでしょう。
土地を夫婦の共有名義にする5つのメリットとは?

では、土地を夫婦の共有名義にするとどんな点がいいのでしょうか。夫婦共有名義のメリットを見ていきましょう。
1. 夫婦それぞれが住宅ローン控除を受けられる
まずは住宅ローン減税です。住宅ローンには、名義人それぞれが所得税と住民税の控除を受けられるという優遇措置があり、たとえば夫の単独名義の場合に控除されるのは夫のみですが、共有名義にすることで妻も住宅ローン控除を受けることができます。
ただし、双方が控除を適用されるためには、夫婦が別々にローンを組む、または一方が「連帯債務者」であることが必要です。連帯債務者でなく「連帯保証人」の場合、1人分しか減税を受けられません。
2. 売却時もそれぞれに特別控除を受けられる
税制上の優遇は、住宅ローン減税だけではありません。マイホームの売却では、譲渡所得(売却益)から1人あたり最大3,000万円の所得税の特別控除があります。
単独名義では1人分のみ適用されますが、夫婦共有名義の場合、夫も妻もそれぞれこの特別控除を受けられるため、控除額は夫婦合わせて最大6,000万円です。各人の持分(出資額に基づく所有権の割合)に応じて計算されます。
ただし、土地と建物のどちらも共有名義でなければならず、土地のみが共有名義の場合は対象外です。さらに、適用を受けるには夫婦どちらも確定申告をしなければなりません。
3. 借入額を増やせる
夫婦の共有名義にする場合、住宅ローンの借入の限度額は収入の合計金額から算出されます。共働き家庭では収入源が2人分あるため、単独名義よりも借入限度額が増えることが多いです。
参考までに、夫の年収を600万円、妻の年収を250万円として、フラット35のシミュレーションを利用して計算すると、以下のような結果が出ました。
名義 | 年収 | 借入限度額 |
---|---|---|
夫の単独名義 | 600万円 | 5,332万円 |
妻の単独名義 | 250万円 | 1,904万円 |
夫婦共有名義 | 600万円+250万円=850万円 | ペアローン(夫婦それぞれがローンを組む)では 7,236万円(5,332万円+1,904万円)、 収入合算(夫婦の収入を合計して1つのローンを組む)では 7,553万円 |
※融資金利1.94%、返済期間35年、返済方法「元利均等」、他の借入金はなしの場合
金融機関によって借入金額が異なるため、あくまで参考として考えていただければ幸いです。
引用元
年収から借入可能額を計算|フラット35
最新の金利情報|フラット35
合算すると世帯年収が増える分、返済能力が高いと判断されるため、より多くの融資を受けられます。ただし、借入額が増えると当然返済額も増えてしまうため、無理のない資金計画を立てることも欠かせません。
4. 専業主婦・主夫でも共有名義にできる
前述のように、夫婦共有名義にする場合は一般的に共働きであるケースが多いです。専業主婦・主夫では無収入で担保がないと判断され、住宅ローンの借入も難しいでしょう。
しかし、収入のある側(主婦・主夫の配偶者)が連帯保証人になったり、主婦・主夫が預貯金を自己資金として拠出したりすれば、共有名義にすることが可能な場合もあります。
名義人になれる=所有権を持てることにはなりますが、他のメリットが該当しないケースや、次章の注意点の影響を大きく受けるケースもあるので、慎重に検討してください。
5. 相続税を節税できる
もし名義人が他界して遺族が不動産を相続する場合、相続税が必要です。単独名義では不動産の評価額全額に対して課税されますが、夫婦共有名義の場合、どちらかが亡くなったときに死亡者の持分のみが課税対象になるため、節税できます。
持分の比率は出資額の比率によって変動しますが、夫婦で50%ずつの場合、50%分だけが課税対象です。
土地を夫婦の共有名義にする6つの注意点とは?
つづいて、土地を夫婦共有名義にする際の注意点を解説します。
1. 売却に手間がかかる
夫婦に限りませんが、不動産を共有名義にしていると、売却の際、単独名義に比べると手間がかかります。共有財産の処分には、名義人全員の同意が必要なためです。
特に、夫婦が不仲になった・離婚によってマイホームを手放す・海外赴任などで遠方にいるといったケースでは、手続きが円滑に進まないこともあるかもしれません。
財産分与のときに意見が対立する・なかなか一方の合意を得られないなどのトラブルが起きる可能性もあり、注意が必要です。
2. 相続時に名義人が増える
共有名義の夫婦のどちらかが亡くなって相続が発生すると、関係する相続人が共有名義人に加わります。すると、持分が細分化されて遺産分割の同意を得なければならない人数が多くなり、意見の食い違いも起きやすくなるでしょう。
その結果、残された配偶者の意向が反映されにくくなり、売却などが難しくなる可能性があります。
3. 住宅ローンの諸費用が2人分になる
メリットのなかで「借入額を増やせる」という内容がありましたが、共有名義で住宅ローンを利用する場合、夫婦それぞれがローンの手続きを行うため、諸費用も別々に発生します。
諸費用の内容は契約手数料・保証料・印紙税などで、ローン諸経費の目安は借入額の3~8%です。
例えば、借入額の5%とした場合のローン諸経費のシミュレーションは、下記の通りです。
ローン契約者 | 借入額 | 諸費用の金額 |
---|---|---|
夫 | 5,000万円 | 250万円 |
妻 | 2,000万円 | 100万円 |
4. 専業主婦・主夫は住宅ローン控除を受けられない
住宅ローン減税は所得に応じて課される税金が控除される制度のため、所得がなければ適用されません。そのため、当初から専業主婦や主夫である方が受けられないことはもちろん、途中から専業主婦や主夫になった場合にも適用されなくなります。
しかし、共有名義で夫婦それぞれが住宅ローンを組んでいた場合、控除がなくてもローン返済は免れられません。かといって、もう一方が肩代わりをすると、贈与とみなされて贈与税が発生します。
深く考えずに共有名義にしてあとから困ってしまわないように、夫婦でしっかり話し合い、このような場合の対策方法も考えておきましょう。
5. 贈与税がかかる可能性がある
不動産の取得においては、資金を出した人物が所有者です。そのため、夫婦の一方のみが土地の購入代金を支払ったのに2人の共有名義にするなど、実質とは異なる登記をした場合、贈与とみなされる可能性があります。
ほかにも、たとえば2,000万円の土地代金のうち、夫が1,500万円、妻が500万円を負担することになっているのに、持分の割合が1:1であるというようなケースでも、拠出金の割合(3:1)と異なるため贈与税の対象です。
また、前述のように途中で専業主婦(夫)になった配偶者の分を代わりに支払った場合にも、贈与税が発生する可能性があるので注意しなければなりません。
6. 固定資産税の通知は代表者のみ
不動産を所有すると、毎年固定資産税や都市計画税を納める必要があります。この税金の通知は、共有名義で土地を購入していても代表者にのみ送られるため、精算は夫婦の間で行わなければなりません。
共有名義人である配偶者は、代表者に対して自分の持分の割合分を払う必要がありますが、都度精算する手間がかかる上、払いそびれるなどで代表者が一方的に負担することもあるでしょう。
特にそれが長期間に及んだ場合、代表者が不満を感じて夫婦間でトラブルになる可能性があります。
共有名義にする前にメリットと注意点を把握しておこう!

土地の共有名義とは、登記を複数人の名義にすることをいい、夫婦の共有名義にする家庭も多いです。共働きでどちらにも安定した収入があれば、両方が住宅ローンの控除を受けられる・借入額を増やせるなどのメリットがあり、共有名義にする価値が高いといえます。
ただし、万が一将来夫婦仲に問題が生じたとき・どちらかが亡くなったときの不動産の取り扱いや、就業状況が変わった場合など、注意すべきケースもあることは事実です。
共有名義にする前にメリットと注意点をしっかり把握しておくことで、発生しうるトラブルを防ぎやすくなるので、今回の内容をしっかり頭に入れましょう。
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